Chapter4:揺らぐ存在認知

写真を生業とすれば意に反した物も撮らなければならないと考え作り出したMALというキャラクター。しかし振り返ってみれば、そこで撮った全ての写真は自分の存在そのもの。雑誌の表紙や広告など、魂を削りながら撮影したそれらの写真(媒体)を通し、普通に生活していては得られなかったであろう数多くの方々からいただいた莫大なストローク(存在認知)には、今も心より感謝しています。しかし移り変わる意況の中で僕が選択した行動は業界引退… というよりもフォトグラファーそのものを止めること。築いてきた実績や人脈、物やプライド、カメラ機材、遂には長髪から坊主頭へと命以外の殆どを削ぎ落とし、これまでに無いレベルで再び自分の存在と向き合うことを選択しました。しかし心理学を学び心についてある程度の知識があったはずの僕がそこで感じたものは、想像を遥かに超えた耐え切れないほどの喪失感。シャッターを切らない、表現を止めた僕はいったい何者なのか? 生きるために好きでも無いことを生業とすれば、僕の心、僕の存在は死に近づいていく。生きているのに、生きていない。ここにいるのに、ここにいない… 全くカメラに触れることがなかった3年間も含め深く自分と向き合った7年の月日が無ければ、僕が再びここでポートレートを撮っていることも無かったと思います。